お買いあげ!(6月刊)

著者:海原零 イラスト:遠藤将之

【あらすじ】
 海洋惑星マム。対立する三国が冷戦体制にある世界が舞台。サザンテトラ連邦共和国の攻撃潜水艦アルファレスには有能な士官候補生8人とその他無能な人々が乗船していた。第三国のブラッカステイツのゲリラ艦と遭遇、上官の誤った判断で攻撃をしかけたところ、折悪しく、対立しているカソレイア王国の艦と遭遇、戦闘になってしまう。候補生のソリカは最悪の事態を回避するため、操舵手の候補生で名門出身のジル・ウィンカービレを人質に取って指揮権を奪おうとする。結果としてカソレイアを撃沈するが上官を撃ったため、戻ろうに戻れないソリカらは、ゲリラであるブラッカに接触する。ブラッカの海底居住区「バージルコロナ」に落ち着いたソリカらは反逆者として拘禁される。ジルはとりあえず自由の身となったがソリカとの間は険悪。ソリカが拘禁されている地下牢獄で、ジルは少女・トパーズに出会ったことから事態は動き出す…

【ここに注目!】
 三国が対立する世界、ポリティク・サスペンスを思わせる戦時下でのさらに芳ばしくいやーな臭いのする人間の争いといったとこでしょーか(笑) 戦闘時の緊迫感や雰囲気はよく出てます。テイストからいうとハヤカワのSFシリーズの洋モノっぽい。
 そーねぇ…あと主人公(?)のジル(男)がちびってしまうとこ、とか(笑)

【感想】
 連邦ときくと「白いモビルスーツ!?」と反応してしまうアイはそういう世代。
 アイの感想は大体大甘なんですが…今回は政治+軍事ものなので反応しちゃった。シリアス系のほうが辛くなるのは作りがリアルだから自分の価値観を照準にしてしまうのねー。コメディと違って流せない部分があるのー。アイは政治系+メディア専攻だったから激辛になってしまいました…ハバネロカレーまでいってないけど。ゴメンネ(涙)
 この話はSDの試金石だと思ってる。4月「鬼刻」5月「ナッツ・クラッカー」とシリアス系路線を承継して、いよいよ真打ち。てか今後の看板っていうことだと思う。アイ的に期待も大きいから心を鬼にします。
 舞台設定とか複雑な政治状況とかもろ好み。潜水艦の戦闘時の描写も研究したなーって感じ。ソリカ主導でカソレイアを退けたものの、ブラッカに下った途端に捕らえられ。ジルとソリカの立場は逆転する。ジルは処刑を待っている謎の少女・トパーズと出会って助け出そうとする…次々ひっくりかえる状況はスリリングだし、リート候補生たちが大人たちを手玉に取ってアルファレスを取り戻し脱出するのもドラマチック。物語の筋立ては面白いんだけどな…例えばトパーズは超人類みたいな存在なんだけど、キーとしてはそういうのもアリなんだろけどアルファレスの候補生たちの反乱物語で充分だったんじゃないの? ちょっと設定が混みすぎて、んで心理描写がおろそかになってるかなーと。
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